歌が上手くなる魔法「肩ロック」!何の呼吸か知って矯正する方法とは
どの呼吸を普段しているか。まず今自分がどの状況に置かれているかを知ることで歌がうまくなりますので、今回はそれを知っていただけたらなと思います。
一回目に話したのが「腹式呼吸」「胸式呼吸」大きく二つありますということでした。
まだ見ていない方はこちら↓
私は何の呼吸? チェックの方法
これは自分がどちらかをチェックするのは簡単で、寝転んで鳩尾(みぞおち)から下、おへそから上のところにちょっと重たいもの、例えばぶ厚めの本2、3冊乗せるのですね。
その本が、動いたら腹式呼吸です。
ちなみに座っているときもどちらの呼吸をしているかのチェックはすることできますよ。
右手は左手の肩に、左手は右の肩に置いてクロスした状態で自分を抱きしめてみてください。これで肩が動かなかったら腹式呼吸です。
寝ているときとか、ものすごくリラックスしているときは腹式呼吸になっています。
逆に胸式呼吸は先ほどのポーズで呼吸してみてわかりやすく肩が上がり、肘(ひじ)も上下に動きます。息を吸ったときもお腹あたりが動いてないです。腹式呼吸はお腹付近が動きます。
やっていただくとわかると思いますが全然違います。
では、自分が胸式呼吸だったことがわかって、これから腹式呼吸にしたいと思ったとします。その場合、“強制的“に腹式呼吸にする方法があります。一瞬でできるのでやってみてください。
「肩ロック」の方法とは
要は、胸式呼吸の場合は肺の上部を使うので、基本的に息を吸うときにどうしてもそこから近い肩が動きます。なので、すごく変な言い方を敢えてすると肩を動かさないように息を吸います。つまり強制的に方が動かないポーズをとれば、もうそれでやることは終わりです。
なぜ一瞬で腹式呼吸にできるかというと、普通にリラックスして座っているときに肩に力を入れてくださいと言われたら、力を入れることはできますよね。これをどこかを支えにして先に肩に力をかけておくのです。そうすると力と力が相殺されて肩まわりの力が全く入らなくなって、肩が使えなくなるのです。これを私は「肩ロック」と言っていますけど、肩をとにかくロックした姿勢で呼吸をすると99%腹式呼吸になります。これで誰もが強制的に胸式呼吸をほぼ腹式呼吸にすることができますよ。
一度是非やってみてほしいですが、まず壁に向かって立っていただきます。そうしましたら
壁に両手をかけてみてください。このときに一つだけポイントとして必ず肘をまっすぐにして伸ばしきります。そして30~40%の力で壁を押すようなイメージで押してみます。
その状態で肩に力をいれみてください。入れられませんよね(笑)
これは肩が完全にロックしている状態(肘をまっすぐにする)で、二度と肩は動きません。この状態だとどれだけ早く呼吸しても必ずお腹が動きます。
これで例えば「スー!スー!スー!」や「ハッ、ハッ、ハッ」と細かく早く息をしてみたら
お腹が動くので、腹式呼吸が実感できると思いますよ。
ということは、肩をロックする姿勢ならなんでもいいのです。四つん這いのポーズもそうですね。四つん這いのメリットは内臓が全部重力で地面の方に向かって動きます。なので仰向けに寝転んでやるより、お腹が動いていることが非常にわかりやすいです。
これでどんなポーズでも肩をロックすると何も意識をしなくてもお腹が勝手に動いちゃうことがわかっていただけたかと思います。
壁を押す方法でもいいし、四つ這いでもいいです。とにかく肩をロックするということをしてみてください。
「こっそり肩ロック」こっそり腹式呼吸にできる方法
ここで、これまでの記事を読んで、自分は腹式呼吸に自信がないけど、腹式呼吸の方がたくさんメリットがあることもわかったし次に友達とカラオケに行ったときには腹式呼吸で歌いたいなと思った方。そんな方に朗報です(笑)
座った状態で、こっそり腹式呼吸にできる方法があるのです。
私はこれを「こっそり肩ロック」と呼んでいますがとてもお勧めの方法です。
まず椅子に浅く腰をかけます。次に踵を少し内側にいれるようなイメージ(逆ハの字)で足を大きく開きます。このまま膝に両手をついてみてください。(この時も必ず肘はまっすぐに)思い浮かべていただきたいのはものすごく野球が好きなおじさんが前のめりに野球観戦している姿勢です。
このときの条件は肘がまっすぐになっていること。膝に両手をついて立ち上がろうとするとき、完全に立ち上がる一歩手間に肘が伸びますよね?まさにあの感じですね。
そうしたらもう座った状態で肩をロックできる姿勢ってこれしかないのですよね。これさっきと同じように「スー!スー!スー!」と早く息をしてみてください。お腹が動いているのがわかると思います。
※カラオケで歌うときは片手はマイクを持つので、マイクを持っていない方の手を膝に伸ばしてつけばOKです。
女性だとスカートを履かれていたり、男性でもそもそもポーズに抵抗がある方もいるかと思います。その場合は、例えば足をそろえたままでもOKです。右手にマイクを持つ、残った左手はソファや椅子で支えます。要は、手がソファなりを支点にしっかり支えられていて
肘をまっすぐ伸ばした状態になる姿勢を作れれば大丈夫です。これで普通に歌っているように見えるけど、実は肩を強制的にロックし誰にも気づかれずに腹式呼吸で歌う練習をすことができるのです。なので「こっそり肩ロック」なんですね(笑)
なぜ「こっそり肩ロック」がよいか?
ちなみになぜ、最初に「こっそり肩ロック」で膝に手をつくポーズがよいとしたかというと、掌で自分の膝を押していますよね?そのとき足の裏で地面を押していますよね?要はこのポーズの方が重心が下になって、力が下にかかってよって声が安定するからなのです。
だから壁に向かって立ったときもちょっと力を30~40%入れて押すのもその方が重心が安定するからなのですね。
家で実践するのならばこの立って行う方法が一番重心が安定するのでお勧めです。
四つん這いはお伝えしたポーズの中では重心が安定しないので、あくまで腹式呼吸ができているかの確認として行うのに一番適していると思っていただければと思います。
【肩ロックの使い分け】
重心が安定することで腹式呼吸の声が安定するのは、立った状態、座った状態。
内臓が重力で下に下がるので、お腹の動きがよくわかる(腹式呼吸ができているかのチェック)のは四つん這い。
第一回からの内容になってしまいますが、腹式呼吸にはメリットが多いので歌うときは腹式呼吸の方がよりよいのでは?その発想をもとにして考えてみると、腹式呼吸を体感としてちゃんと理解する必要がある。そのためのチェック方法を今回はお話しました。ただ前回もお話したとおり、だからと言って絶対に腹式呼吸でなければいけないという腹式神話にはならないようにしてほしいと思います。
その時々のチョイスでいいと思いますけども、チェックの方法としては今日お話しした「肩ロック」がわかりやすいかなと思います。「こっそり肩ロック」については誰にも気づかれずにチェックできますしね。簡単ですし、道具もいらないですし(笑)
まとめ
せっかく練習でできていても、実践でできていないと意味がないし楽しくないですよね。
やっぱりカラオケに行ったりしてそこでできないと本末転倒で、歌うときに腹式呼吸を使えるかということがすべてなので、そこは実践で試していってほしいですね。
友達とカラオケにいったら、少しでもうまく歌いたいなと思うのは皆同じだと思いますのでね。
繰り返しますが、どんな姿勢でも肩がロックさえされていればすべてOKです。
ただその時の絶対的な条件は肘がまっすぐ伸びているということ。ここで肘が少しでも曲がっていると方に力が入りやすくなってしまいます。肩と支える手の“力と力で相殺する”。
こうして強制的に肩に力を入らなくする。これを是非覚えてください。
こうやって腹式呼吸とはどんな呼吸方で、大事なこともわかったけれども実際にそれが日常生活だったり、トレーニングで使えるようにしていかなければ、自分がどちらの呼吸を使っているか理解していかなければいけません。これをわからない状態で使っていることが一番よくないので、まずはそれを知ってもらうためにほぼ100%、強制的に腹式呼吸を体感してもらう方法を今回はお伝えしました。これは立っている状態、四つん這いの状態、座っている状態、どんな状態でもできると思ってください。
この記事は私が書きました。
浦麻紀子。うらまきこ。
大阪府出身。
ボイストレーナー、話し方トレーナー、ビジネスボイスコーチ。日本ボイストレーナー連盟資格認定(JAVCERT)
プロアーティストの仮歌、コーラスサポート、NHKプロフェッショナルの流儀、テレビ朝日系全国ネット『坂上忍の成長マン』ハモり講座の指導などのテレビ出演、名古屋大学大学院医学系での学術集会でのセミナー、豊商事株式会社での電話対応セミナー、など多岐にわたり活動中。
・20年以上に渡りボイストレーニングを指導。
・3000名以上の指導歴。
・シニアインストラクターとしてボーカルトレーナーの育成、指導。
・講師、客室乗務員、面接対策、婚活、企業様向け研修やスクールでの講演。
・コミュニケーション能力向上研修、プレゼン研修。
・メジャーレコード、プロダクションへのプレゼンライブ等。
特に滑舌、表現力、説明力には力を入れている。
自身も3枚のアルバムをリリース。全国20箇所でツアー・ライブを500本以上。