英語の曲を聴くときのNGとは?邦楽との違いの理解でリズム感は向上
洋楽やJ-POP、その歴史の背景の話を前回しましたが、私は断然洋楽、英語の曲を聴かれた方がリズムを意識しやすいと思います。これは曲の作り方に大きく由来します。
前回の記事を見ていない方はこちら↓
洋楽と邦楽は曲の作り方が違う
まず邦楽と洋楽では曲の作り方が全然違います。基本的に洋楽は大体2つのパターンで構成されます。AメロとBメロの大体この2つだけです。プラスでフックやブリッジとか別メロが1個入ったりするところもありますが、大体この2つです。
邦楽はサビの音が一番高い理由
邦楽の場合は、Aメロ、Bメロ、サビ、Dメロで転調など色々あります。
日本の曲はフュージョンのように展開が凄く多いんです。
これは、よくも悪くも日本人の特性を生かしているんですが、前回もお話したとおり、高低アクセントで取る母国語だからっていう事と、節回し文化が強いので、高い音と低い音をしっかり出せる曲を作ったうえで、そうやって展開をつけないとなかなか魅力的に聴こえないんです。
それで、Aメロ→Bメロ→サビの展開になっていて、大体サビに1番高い音がきます。前にもお話しましたが、高周波っていうものは1番耳がいきやすいんです。なぜならば、周波数が高い。周波数が高いってことは振動数が多いので、聞いた時に1番最初に耳に入ってくる音なんです。例えばクラシックでもそうですが、聞いた時にチェロの音が1番に入ってくる事はあまりないと思います。バイオリンとか、高音域が出る楽器の方に耳がいきやすい。
なので、高い音に対して耳がいきやすいので、キャッチーになりやすいんです。邦楽の場合は、サビに1番の高音を持ってくる曲が多いので、それがセオリーになっているのだと思います。
洋楽はリズムありきで構成もシンプル
洋楽の場合は歴史の話もしましたがメロディーから作られているわけではないというか、、基本的にはリズムありき、どんなメロディが乗っても恰好よくなる様な曲の作り方をしているんですね。だから別のメロディーになっても恰好いいんです。
メロディーに重きを置いているというよりかは、どちらかというと、曲全体のリズムとか、曲全体の輪郭をしっかりと作っているという感覚なので、どちらかというとメロディー展開は2つぐらいでいいんじゃないかという感じです。皆さんがぱっと思いつくような有名な洋楽はほぼABパターンだと思います。例えばキャロルキングやカーペンターズ、ビートルズやイーグルスなどですね。
ビートルズは世界的に有名ですけど、 皆が知っているような思いつく曲はほぼABパターンじゃないでしょうか?
だから、どちらかというとJ-POPの方が少し変な言い方ですけど、世界的には珍しい部類だと思います。
例えば欧米の人たちが日本で発売するCDに日本専用ボーナストラックをつけている事がありますが、それは ABサビ展開になっててるものが多いんです。日本の文化を分かってくださっていて、「日本人はこういう感じが好きでしょ?」という事でCDに入れてくれていたりする曲もあるので面白いです。
やっぱり音楽は民族性というか、そういうところにも大きく由来すると思います。日本版のみの特典は他国でやっても多分ウケないと思います(笑)
例えばAORのパイオニアとも言われるようなボビー・コールドウェルさんは比較的、どちらかというとABパターンで組んでいる曲は多いんですが、メロディアスなんです。なのでAORの中では母国より更に日本での人気があると思います。
このように洋楽はリズムを軸に作っているので、メロディアスでもそのメロディー頼りになっていないってことなんです。語弊を恐れず言えばメロディーは、多少間違っていても、曲の恰好良さを保てるんです。
逆に日本の曲はメロディーがちょっと外れたり、違うメロディーになった途端にダサくなってしまう事がありますよね(笑)
英語と日本語の違い
英語の曲は1つの単語とか1つの音に対して母音と子音がたくさん入るんです。
大きな違いは、日本語は1つの音に対してたまに2つ入る場合もありますが、例えば「タ」の場合はTとAの子音1個、母音1個ですよね。
「夢」が歌詞にあったとして、ゆ・めで、2つの音で日本の場合は表現しますが、 英語の場合は、1個の音で「Dream」と表現します。なので、英語の曲はその1個の音に対しての入り方、リズムの取り方が全然違うんです。1個の音で、子音と母音がいっぱい入ったものを単語として1個入れる。1個がひとつの音ではなくて単語になるんです。もちろん単語はばらつくときもありますけど、基本的には1個に入ります。
例えば「♪When You Wish upon a Star~」
日本語だったら、「その時とか」、「何とかの時」になりますよね。でも、Whenだったら子音や母音がたくさん入っている1個の音に凝縮されているので、その音にはめるためにしっかりリズムをとって作るのでリズム感がいいっていうのはあります。そこは大きな差です。
基本的には英語は単語の強弱とか息の使い方で発音が決まります。日本語とは、全く発音の取り方が違います。なので、1個の音にしっかりと、 Whenってはめる時にちゃんと息を流す、そこにしっかりはまるからこそ、リズムがいいのだろうと思います。そこの大きな違いがあるので、リズム感を養うなら私は洋楽をお勧めします。
洋楽を聴くときにやってはいけないこと
ぜひこれは覚えておいてほしいんですが、もしこのコラムを読んでくださって、今日から洋楽をしっかり聞くようにしようってなった時に、絶対やってほしくないのが、歌詞を見ることです。
歌詞を見るとシャドーイングというものが出来ないからです。シャドーイングは聞こえたままを言うだけなんですが、単語を見てBeautifulって書かれていたら、日本人は絶対「ビューティフル」って読むんです。これは日本教育の悪いところだと思います。
だからその先入観で英語で歌が歌えない人がものすごく多いです。
英会話のレッスンの時もそうですが、シャドーイングをめちゃくちゃさせられます。
その人が喋った言葉を文字も何も見ず同じように喋るだけ、アクセントも同じように入れるだけなんです。意味は分かってなくていいんです。意味よりもまずはちゃんとそれを発音出来るかなんです。
だから英語の曲を歌う時に歌詞は最後の最後の最後の最後に見てください。それまでは同じように歌うだけです。
「♪When You Wish upon a Star~」も、歌詞で見ると最後の方はアポン ア スターですがその様には聞こえないですよね。
下手に読めちゃうからダメなんです。だから、リズムをつける為に勉強になる英語曲の譜面を生徒さんに渡すと、1個ずつちゃんと単語を読もうとしちゃうから歌えないんです。
ちょっと速くなるパートとか読んでいると英語がついていけないので、私はまず聴いた感じをカタカナで書かせます。
「♪When You Wish upon a Star~」もウェン ユウ ウィッ ア パナ スターと書かせて
それを読んでもらいます。そうするとそれがリズムに合ってくるんです。
それが出来たら最終的に答え合わせとして歌詞を見て細かい発音を実践するだけで全然リズム感が変わってきます。そうしたらちゃんと英語の曲を歌えるようになると思います。さっきもお話したとおりDreamだと1つの音に母音と子音が入り混じっているので、その曲の展開の中で、その様な単語を入れようと思ったら、きっちりとリズムを取っていかないと曲に対して言葉が遅れます。だから綺麗に入れるようになるんです。日本語みたいにワ・タ・シはとかではなくて、I Wish aって1個ずつ取れるようになるんです。
英語の曲は凄く勉強になります。これはやり方次第です。英語の曲を歌えるようになるからリズムが良くなるわけではなく、やり方次第でぐっと伸び率が変わるという事です。
やり方としては、そのリズム、アクセントで、まず「リズム歌い」ですね。
ウェン ユウ ウィッ ア パナ スターで歌えるかどうかです。メロディーも後でいいですし、英語の発音に引っ張られるのであればそれは最後でいいよって考え方です。でも、書かれているとおりの読み方、「ビューティフル」って習ってしまうのでそうなってしまうんです。だから、英語の曲が苦手な方が一定数存在するっていうのはそういう部分もあるのかもしれないです。苦手だからこそ聴かない、聴かないからこそリズム感がよくならないっていう負のスパイラルに繋がってるんじゃないかなと思います。
※「リズム歌い」にいついてはこちらの記事をお読みください。
洋楽って凄く楽しくて美しい曲が山のようにあるんですが、実際にそれを歌うってなった時に、英語の曲は難しいっておっしゃる方がいます。それを難しくしているのはあなた自身で、実は全然難しくなくて、もっとやり方を変えればうまく歌えるようになりますし、リズムをしっかり取れるようになります。どちらかというと聴き方の問題です。リズムがいい日本人の方って、小さい頃から洋楽聞いていて、何となくそれっぽく歌っているだけ、シャドーイングで歌っているだけなんです。そのメロディーラインとか、言葉の意味を考えずにシャドーイングで歌う癖がついているので養えているんだと思います。
だから、幼児教育の話にも出た「大きな栗の木の下で」を、全然違う歌詞や英語でやろうが、小さい子は出来るんです。
細かい意味は分かっていなくても体を動かして聞こえた通りにやるだけだから出来るんです。だから、小さい子はアップルって言わずちゃんと「アポー」って言いますよね。appleって言われた方が分からない。小さな頃からアポーで覚えているので英語の曲の中にappleが入っていたとしても、アポーになるんです。だから学校の教育でもカタカナでビューティフルって書かせる、読ませるというのは、日本の学校での英語教育のあんまりいいとは思わない部分の1つではあるかもしれませんね。
何かのデータで見たんですが、母国語が英語じゃない国で、日本人は英語が喋れない国ランキングの下から数えたほうが早いくらいでした。日本ってそれぐらい英語に対してちょっと距離があるんですよね。
会話の重要性よりも読み書きの方が優先的に取られていたので仕方ない部分もあるんですが、英語の曲を歌ってくださいっていう時に「恥ずかしい、上手く歌えないから」って言葉が出てきたりするんです。でもそうじゃない。聞こえたまま歌ったらいいだけなので、聞こえたままを紙に書いてみて、それが意味のない言葉ばっかりになったとしてもそれでいいんです。
それこそカラオケなんてアップルって読み方で読み仮名が書いてますよね。本当にそうやって歌うの?って思います(笑)
細かい文化の話になりましたが、リズム感ってそういうところからも来てるんです。その母国語からの流れからも来てますし、だからこそ、リズムがいい国に学んだら1番いいよという話です。
リズム感を養う洋楽は海外のミュージカルソングが最強
あとは、例えば洋楽でも前回のスティングのセブンデイズの変拍子の話に近いんですが、ミュージカルソングも変拍子が非常に多いので、聴いてみるといいかもしれないです。
レ・ミゼラブルの「オン・マイ・オウン」など、ミュージカルは急にキーが変わったり、急に変拍子になったりするものがけっこうあります。変拍子は今のJ-popで言うとスピッツの「美しい鰭」の冒頭が変拍子ですね。4分の4と4分の3入っていますよね。
だから逆に言うと、あの曲はJ-POPではすごく珍しく聞こえるんです。別にそういう曲があってもいいのに皆がリズムが取りづらいから無いんです。皆さんどうしても4分の4でリズムを取ってしまう癖があるから。でもやっぱりスピッツとしてはそう表現したかった。私はすごくかっこいいなと思うんですが、その4分の4で取る癖を変えるためには、やっぱりミュージカルソングとか聴くと面白いです。このように5拍子や変拍子の曲を聞いたりする事も1つの面白い方法じゃないかなと思います。日本から生まれたミュージカルよりも、海外から出たミュージカルの方がもちろん多いので、英語の方が歌詞がはまります。そうするとさっきのリズムのトレーニングにもなりますし、発音のトレーニングにもなると考えるとミュージカルソングが最強なのかなと思います。
ミュージカルって、やっぱり歌が劇中にあるじゃないですか?感情を伝えるための道具ですよね。曲がメインじゃなくて。
だから、そういった意味では 気持ちを吐露しているような曲が多いので、その言葉やメロディーに力があるというよりかは、リズムとか曲の構成に凄く力が入っているのでそういう意味合いとして変拍子が多くなっているのかなと思うんです。
自己分析ではあるんですが、人の気持ちってずっと同じテンポではなくて、嬉しい時や悲しい時など、色々な感情が入り交じるのを表現した時にそうなるのかなって思います。
ただ、最強とはいえミュージカルは好き嫌いが結構分かれますので、そうであれば洋楽のシャドーイングをしっかり出来るかどうかっていうところの方が入りやすいのかなという感じです。色々な方法があるので、いきなり洋楽じゃなくても、日本の人が全部英語で歌っている曲でシャドーイングしてみてもいいと思います。
最初おすすめするとしたらビートルズ、カーペンターズがいいかなと思います。複雑な単語を使わず結構分かりやすい耳馴染みのある単語が多いので、最初はシャドーイングで意味を分かってなくても歌ってみて、最終的にちゃんとした発音にしてあげると英語の歌として成立しやすいかと思いますので是非やってみてください。